なぜ全身調整を行うのか

それは筋膜調整、トリガーポイント調整を行うためです。

筋膜とは何か?

筋膜は筋肉を包んでいる、たんぱく質の繊維でできた薄い膜です。
筋肉だけでなく、血管、神経、脂肪、骨、靭帯、腱、内臓を包み込み、つなぐ役割も果たしています。

いわば、ボディスーツのようなイメージです。

ただ、筒状のボディスーツでなく、表層部から深層部まで一続きつながって、
骨や内臓も包んで支え、「あるべきところ」にきちんと収めることのできる、三次元的なボディスーツといえます。

もし体から、筋膜以外のすべての細胞や組織を取り除いたら、完璧な人体の形をした骨や内臓の形までわかる、立体的なボディスーツができると言われています。

このことから、筋膜は第2の骨格と言われています。
筋膜1

なぜ筋膜のゆがみ、硬縮が起きるのか

それは、普段の姿勢の悪さや、生活習慣です。

パソコンで作業する姿勢や、スマホを見る姿勢など、あごを突き出す姿勢が猫背になり、筋膜のゆがみや硬縮を作り出します。

かばんやショルダーバックを片方だけ下げたりすることや、足を組む癖、運動不足もゆがみ硬縮の原因となります。


体のゆがみは筋膜のゆがみ

体の形は筋膜が作っています。

筋膜は伸縮性に富んでいますが、偏った姿勢をすると、筋膜ボディスーツも型崩れします。
1か所でもゆがみ、硬縮が生じるとスーツ全体が影響を受けます。

筋膜は感覚受容器が分布していて、痛みを発症しやすくなっています。

その為、筋膜がゆがんだり、つれたりすると痛みを生じます。

骨格、骨盤矯正の前に、筋膜の調整が必ず必要となります。

骨、筋肉,筋膜の関係はテントの骨組み、ロープ、シートと似ています。

いくら骨組みがしっかりと立てられていても、ロープでシートの1か所だけを引っ張りすぎたり、シート自体問題があって、ピンと張れないと、テント自体が傾いてしまいます。


これが体のゆがみは、筋膜のゆがみということです。

筋膜がゆがんだり、硬縮すると、背骨や骨盤のゆがみを先に矯正しようとしても、ゆがみを改善することはできなくなります。


筋膜3

トリガーポイントの発生

筋膜にできたゆがみ、しこりをトリガーポイントと言います。
(以前は筋肉から発生すると言われましたが、最新の見解では筋膜と言われています)

筋肉の痛みのほとんどは、筋繊維によるものでなく、筋膜による炎症と言われています。

筋膜が硬化し、血流を低下させ、活性酸素や発痛物質を生成、滞留して、神経を刺激し痛み炎症を起こさせます。

体の痛みの80%がトリガーポイントによるものだと言われています。

トリガーポイントはあらゆる痛み、しびれ、疼きの震源地であり、再発を繰り返す病巣です。

トリガーポイントとは文字通り痛みの引き金(トリガー)と言えます。



トリガーポイント1

つらい痛みは血流低下が引き起こす

痛みや不調が発生する原因の一つに虚血があります。

虚血とは血液の巡りが悪くなり、健康維持に必要な酸素や栄養素が体の隅々まで行きわたらなくなった状態を言います。

筋膜は血流と密接な関係を持っています。

血管は筋膜と複雑に絡み合いながら全身に張り巡らされています。

トリガーポイントが多くできるほど、この虚血になります。

虚血によって血流が滞ると、リンパ液などの流れが悪くなり、体内に生じた老廃物が排出されにくくなります。

すると痛みの原因となる疲労物質も排出されにくくなり、これが滞留すると体は痛みを増幅する負のスパイラルに突入します。

痛みだけでなく疲労感もますます強まり、こり、倦怠感、冷えといった不調まで引き起こします。

痛み、不調は局部的な治療や投薬でごまかすだけでは、
症状は改善しません。

よって、全身調整で、全体の血行を良くする必要があるのです。



画像の説明


筋スパズム

トリガーポイントが多くできると、筋スパズムになります。

普通にしていても、筋膜が勝手に緊張してしまう状態が筋スパズムです。

ウインナーを徐々に折り曲げていくと、皮がパンパンになって亀裂が入り最後に折れますね。

この時の皮が筋膜で、亀裂が入るのが、筋膜炎や肉離れと言えます。

猫背姿勢が脊柱起立筋をパンパンに張りつめさせるため、何気なく屈んだ時に、裂傷が起きてギックリ腰になるとも言われています。

筋スパズムの仕組みとして

筋膜の緊張→血流の低下(老廃物、乳酸の滞留)→痛み(老廃物が化学変化)→緊張の増加(体の防御反応)→血流のさらなる低下→痛みの増大→筋膜の緊張

以上のように、筋スパズムになると負のスパイラルに陥ってしまいます。

負のスパイラルから脱出するためにも、筋膜、トリガーポイントにアプローチする全身調整が必要となります。



関連痛
トリガーポイントの特徴として、関連痛があります。

筋膜にひきつれなどの問題が起きると、他の部位にも影響が出ます。

例えば、僧帽筋にトリガーポイントができると、筋膜を伝わって頭痛になります。

これを関連痛と言います。

このため、頭痛を改善するには、頭ではなく僧帽筋にアプローチする必要があります。

同様に、でん部にトリガーポイントができると、足がしびれたりします。

足のしびれをとるためには、足ではなくでん部にアプローチする必要があります。

基本的に、上下、左右の隣り合う部位や、体の裏表といった対になる筋膜が最もつながりが強く影響しあいます。

トリガーポイントはがん細胞のように拡散します。

痛みの震源地のトリガーポイントを「セントラルトリガーポイント」と言います。

関連痛によって形成されたトリガーポイントを「サテライトトリガーポイント」と言います。

「サテライトトリガーポイント」は、末梢神経が異常に興奮し筋スパズムを起こします。

「サテライトトリガーポイント」を治療するには、痛みの震源地の「セントラルトリガーポイント」を治療しなければ根本的な解決にはなりません。

治療は「サテライトトリガーポイント」と「セントラルトリガーポイント」を見極めながら行っていきます。